music unlimitedとはなんだったのか

2015-07-16T22:22:56+00:002015年7月16日|Categories: Webサービス, モバイル|

AWA、LINE Music、そしてApple Musicなど、定額制音楽配信サービスが活気づいている。 しかし、みなさんは覚えているだろうか。というか、知っているだろうか。music unlimitedというサービスがあったことを。 これは、ソニーが2012年7月から提供していたサービスで、残念ながら2015年3月で終了してしまった。月額980円を支払うことで音楽が聞き放題になるシステムはAWAやLINE Musicとまったく同じで、それを3年も前から日本で始めていたのは今でもありがたいと思っている。 終了の理由として、Spotifyと共同で始めたPlayStation Musicへの移行が語られたが、残念ながら日本では利用できない。日本のレーベルも、速く新しいビジネスモデルに移行してくんねぇかなぁ~なんて鼻くそほじりながら待っていたら、先にAWAなどが始まってしまった、という感じである。 というわけで、ここ1ヶ月ほどAWA、LINE Musicを試してみた。音質も十分だし、見た目にも使いやすいのだけど、残念ながら物足りなさはあった。その理由は、やはり曲数にある。 Lineが100万曲、AWAは500万曲だということだが、music unlimitedの最盛期は3,000万曲を超えていた。music unlimitedで見つけ好きになったあの曲が、AWAにはやはりない。 その点で唯一対抗できるのはSoundCloudだが、いかんせんここはDJやコンポーザー的なユーザーが多く、ほとんどの曲がリミックスさ れている。それがサービスの魅力でもあるのだが、いくらかっこ良くアレンジされていたとしても、1リスナーとしてはオリジナルを聞きたいとい う欲求がやはりある。好きなミュージシャンのライブで、お気に入りの曲が妙にアレンジされていた時のちょっとしたガッカリ感みたいな。 料金が高いわけでもない、Walkmanの音質もよい、曲数も多い。ではなぜmusic unlimitedは終わってしまったのか。終わってしまった以上、ビジネス的に成功していなかったという前提で、理由を考えてみた。 ひとつは、邦楽がほぼ皆無であったという点。日本人は特に国内の音楽が好きで、海外ミュージシャンの人気はない。それがいいとか悪いとかではなく、現実としてそうである。 そこに問題意識を感じていたのか、後期には明らかに邦楽ミュージシャンの曲が増えてきたが、私が流行りに疎いせいもあるのか、とても一般顧客を惹きつける魅力があるラインナップには見えなかった。 Spotfyが日本で開始しないのは、無料会員制度があるからだと言われる。それに対し、ソニー(ミュージック)とエイベックスという、国内レーベルでも力を持った存在が首を縦に振らないからだそうだ。そういう意味では、AWAとLine Music双方に音源を提供したエイベックスは、日本でSpotfyが根付く前に、定額音楽配信サービスのパイをすべて奪っておこうという思惑があるのかもしれない。 そしてもう一つ、music unlimitedのアプリはひどかった。控えめに言っても、クソであった。私が使っていたWalkmanとの相性が悪かったのかもしれないが、10回起動して、まともに立ち上がるのは2,3回。数十分から1時間楽しむのに、一度もクラッシュしなかったのは10回に1回だった。 せっかくWalkmanというすばらしいハードがあるのに、ソフトは本当に壊滅的と言っていいレベルであったのだ。 サービスを開始するタイミングは、早すぎても遅すぎてもダメだと言われる。music unlimitedが早すぎたのか、日本には定額制音楽配信は根付かないのかどうかは、AWAなどの成功にかかっているか。

伝説の一夜 オピント事件について

2017-11-03T14:02:18+00:002014年12月17日|Categories: モバイル, 日々|

今ではすっかり携帯キャリアの一角、むしろ強者として定着した感のある「Softbank」ですが、数年前までは「Vodafone」だったことを、皆さん覚えておいででしょうか。 そういやそうだったな、というくらい今では当たり前の存在になってしまったので、孫さんは本当にすごいなと思いますが、僕はやはり、あの日の夜を忘れることができません。 SoftbankがVodafoneを1兆7千億円というとんでもない金額で買収し、そのすべてのWebサイトを一夜にして変えねばならなかったあの伝説の一夜、「オピント事件」を……   私はその頃Yahoo!に在籍しており、いくつかのサービスを担当していました。 当時、Vodafoneでは「Vodafone live!」という独自のサービスを展開していましたが、これが「Yahoo! ケータイ」というものに変わることになりました。ケータイの物理ボタンに「Y!」というボタンがあったのは今となっては懐かしい限りです。 そのため、ヤフーの中でモバイル(今で言うガラケー)版のあるもの、つまりほとんどすべてのサービスは、ページ中の「Vodafone」の記述などを変更する必要があり、Softbankの担当者は、旧VodafoneのページすべてをSoftbank仕様に改編する必要があったのです。 何せVodafoneの買収は(少なくとも下々の人間には)急転直下でしたから、ほとんど時間がありません。もちろん他の仕事も抱える中、今考えても普通なら数週間かけてもいい程度の作業量を、1日で行うようにとの指令が下されたのです。   そして、VodafoneがSoftbankに切り替わるその日がやってきます。 エンジニアの方々は泊まり込みでの作業を余儀なくされました。私はディレクターというポジションだったため会社へ泊まったわけではありませんが、自宅にて、関連するページのチェックを行っていました。 幸いにも、Yahoo!チームのページは変更点がそれほど多くなかったこともあり、特に大きな問題は起きませんでしたが、Softbankのページで異変が起きてしまいました。 それは、Softbankの優位性を強調するための「ポイント」を説明するページでのこと。 一部に「オピント」という表記があったのです。   「ポイントは、500オピント毎に……」   一体なんだこれは。自宅でPCを見ていた私も一瞬考えましたが、しかし本当に一瞬で理由がわかりました。 これは、日本語で「poinnto」とタイプするところを、「opinnto」としてしまった、いわゆるタイポです。しかも、最初にちゃんと「ポイントは」と言っているのにも関わらず……(そして、なぜ「オピント」が正確にすべてカタカナで変換されたのかは、未だに謎とされています)。 それ以外にも、画像として使われた携帯電話がDoCoMoのものだったり、リンクミスが多発していたり、普通ならYahoo!やSoftbankのWebサイトでリンクミスがあれば重大な事故なのですが、とにかく、今となっては伝説の一夜となっています。 しかしもう一度言いますが、あの時のSoftbankチームは本当に大変だったと思います。今考えても、あれを1日でやるのはありえません。   「オピント」 今となっては笑えますが、何だか憎めない愛おしい響きです。

ジョルテのサポートがすごい

2017-11-02T18:16:59+00:002014年9月7日|Categories: モバイル|Tags: , , |

スマホはAndroidをメインで利用しているのですが、先日、愛用している「ジョルテ」とGoogle Calendarの同期ができなくなった(原因は結局自分のミス)ので、Google Playを覗いたところ、とても驚きました。 ジョルテのサポートが、ほぼ100%、すべてのレビューに返信していたからです。 https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.johospace.jorte&hl=ja Google Playには、運営者がユーザーのレビューに返信できる機能が、2013年5月から追加されました。 http://android-developers.blogspot.jp/2013/05/all-google-play-developers-can-now.html しかし、おそらく多くの運営者は、これを歓迎しなかったのではないかな。。。と思います。 なぜなら、レビューへの返信はとてもコストがかかり、多くの場合、そのコストに見合ったリターンが望めないからです。 特にスマホアプリのように、 ・利用障壁が低い(簡単にインストール/アンインストールできる) ・競合が多い ・本や商品のように「好きだから買う」ということが少ない という性質をもつ製品は、不満をぶつける対象になりがちです。 「アップデートしたら動かなくなった」 「自分のスマホで動かないからクソアプリ」 開発者が最も欲しい情報はOSのバージョンや機種などですが、もちろん多くのユーザーはそんなことは伝えてくれませんし、特にその組み合わせが無数にあるAndroidにおいて、それらを想定し返信するのはとても骨が折れます。 そのため、運営者、特に大きな企業などは「あえて苦言を放置する」ことがあります。 酷評ばかりが並ぶアプリであれば別ですが(それは別の問題)、中にはもちろん、好意的なレビューもあるはずです。その中の1つである「苦言」は、放置してしまえば、言い方は悪いですが、「真偽の分からない、ただの1ユーザーのグチ」だと、他のユーザーに見せることが可能だからです。 なので、多くのサービスではバグ報告はオープンにせず、メールや問い合わせフォームで送る仕組みにしているのです。 そしてもちろん、他のアプリなどと比較し、的確な欠点を指摘してくるユーザーもいます。そういった指摘に対して謙虚に欠陥を認め、どうしてその仕様になっているかを説明することは、自分たちのプロダクトに相当な自信を持っていないとできません。 正直、ジョルテがこのコストに見合ったリターンが得られているかは難しいところだと思われます。レビューに返信されても、それを見ないユーザーがほとんどでしょう。 しかし少なくとも、その大変さが分かる立場の人間は、ジョルテのサポートに好感を持つだろうと思います。

LINE勝利の理由を考える

2014-09-02T22:36:07+00:002014年9月2日|Categories: モバイル|Tags: , |

独立に際して挨拶回りなどしていて、尊敬する先輩に夕食をごちそうになった(その節はありがとうございました)際、「LINEはなぜ勝ったのか」という話になったので、改めて考えてみました。   既に「インフラ」と言っていいほど普及したので改めて言うまでもないですが、LINEは主にスマホで利用するメッセンジャーアプリです。 無料通話やゲームもできますが、利用目的のほとんどがテキストや写真の交換でしょう。   要するに、やっていることは昔から変わらない「チャット」です。 僕を含めたPC世代が、懐かしのICQやMSN、Yahooのメッセンジャーで行っていたことであり、我々はそれをとても楽しく使っていた(る)のではないでしょうか。 ディスプレイの前でニヤつきながらキーボードを叩いてる人を見れば、おそらくメッセンジャーでチャットしてるんだなと、気味悪がった察しがついたものです。   しかしそれらはあくまでPCソフトなので、常にPCの前にデンッと座っている人、つまり、一日中ネットワークに触れている人でないと利用しないものでした。そして大多数の人が、ごく最近までそのような環境にいませんでした。   それが大きく変わったのが、スマホの普及だと思われます。 これにより、多くの人が、リアルタイムのネットワークを手中に収めました。   mixiやFacebookをはじめとしたSNSが革命的だったのは、「時間を越えて体験を共有できる」点だと思っています。 1週間前でも、1年先でも、もっと言えば、一生の時間を共有できるというのは、世界中の多くの人の生活習慣を変えるほど衝撃的なものでした。 しかしLINEはそこにまた時間の概念を取り戻し、「今この瞬間を共有できること」の楽しさを、今までそれを体験していなかった層に教えたのではないでしょうか。   それにLINEは、あれだけのスピードで急拡大したにも関わらず、サーバがダウンするとか、動作が遅くなるとか、目立った障害もほとんどありませんでした。 最近問題になった乗っ取り事件も、別のサービスの情報漏洩が原因のようだし、中学生と戯れていたどこかの代議士の人が「LINE議員」などと言われてましたが、ツールとして使っていただけで、LINEは何も悪くありません。「LINE」という言葉がキャッチーでひと目を引くから使われただけの話で、もしSMSを使っていても「SMS議員」とは呼ばれなかったでしょう。   スマホ普及の波に乗り、ネットワークを手のひらに乗せた世代に、「今を共有する」ことの楽しさを知らしめたことがLINE勝利の理由であり、最大の功績ではないかと思われます。   その上で、競合の(こっちの方が先だけど)カカオトークその他に打ち勝った理由は、性別や年齢層を問わず「嫌悪感を抱かせない」デザインのスタンプだったり、ちょっとした(しかしおそらく相当緻密に計算された)使い勝手だったり、カカオトークが「読んだら消える数字」のところを「読んだら表示される既読」にしたことだったり、絶妙なTVCMのタイミングだったり、どこまで計算したか分かりませんが、それらが奇跡的に組み合わさって今のLINEの成功があるのではと考えます。   日本で広まったのは多分そんな感じでしょうが、世界でこんなに広まったのは、正直もうちょっと勉強しないと分かりません。。