自分の動きが俊敏でないことを知っているおばあちゃん

2015-09-14T23:50:56+00:002015年9月14日|Categories: 日々|Tags: , |

帰り道、家の近くのコンビニに寄った。ビールやら何やらをカゴに入れてレジに向かうと、おばあちゃんが会計をしているのが見えた。 おおよそ70代くらいだろうか。名前は知らないけども、小さいショッピングカートみたいな、スーツケースの簡易版みたいなのを手にしていた。僕はそのおばあちゃんを何度かその店で見かけており、そのカートがないとうまく歩けないのであろうこと、そしてそれをとても気にしており、周囲にとても気を遣う人だということを知っていた。 予想通り、会計を終えてもカートに商品を詰めたり移動することに少し時間がかかってしまう。おばあちゃんは焦りながら、後ろに並んでいる僕に、少し苦い笑顔で何度も「ごめんなさいね」と謝る。 すると、僕が並んでいたことに気づかなかった人が、おばあちゃんの次にスッとレジに入ってしまった。おばあちゃんはそのことに気づき、「すみません、ごめんなさい」とまた何度も謝った。今度は笑顔でなく、真顔で。 おばあちゃんの動くスペースを作ろうと少し離れて立っており、棚の死角に入っていたため、その人は別に悪くない。実際、レジ打ちをしていた店員さんが一瞬こちらに目配せをした時、その人も「あっ」というような表情をしたのだ。 しかしその一部始終を感じ取っていた別の店員さんが機転を利かせ、すぐに他のレジを開けてくれたおかげで、何事もなくすべては終結した。 登場人物の誰も悪くない。しかし、誰も得しなかった。全員がそれなりに他人のことを思って行動したのに、結局一番優しく周囲に気を配っていたおばあちゃん一人を傷つけてしまった気がして、なんだか切ない。 昔、松葉杖をつきながら荷物を持つのに難儀していた人を見かけて、思わず「持ちましょうか、杖」と言ってしまった人を見かけたことがあるが、優しさを発露するということはとても難しいものだと改めて感じた。