興味深い記事を見たので感想を書きます。
「家族は近くで住むべきであると政府が推奨する」ことを批判するのはまったくおかしくないのですが、その根拠が「近親間での殺人事件の割合」であることが妙な感じです。
日本における殺人事件の件数は年々減少しており、
去年、初めて1,000件を下回ったと話題になりました。
今やその発生率は下から数えた方がはるかに速いほど、極めて低くなっています。
その上で、近親間での殺人の「割合」が増えてきたのは、それ以外の理由での殺人事件が減ったからです。
言い換えれば、「家族間くらいでしか殺人事件が起きなくなった」ということですね。それは、日本が豊かになりお金のために人を殺すことが減ったのが大きな理由だと思われます。
確かに、ぱっと見ると「日本は近親間での殺人が多いのか! なんて家族の仲が悪い国民性なんだ!」と思いがちですが、全体の数字を俯瞰すると違う側面が見えてきます。
同じ状況に、「ガンは怖い。日本人の死因の○%以上がガン」という言説がありますが、一方で平均寿命はこの50年でガンガンに伸びているので、これは、他の病気がほとんど治るようになってきて、もうガンくらいでしか死ななくなってきた、ということです。
この記事は、数字を一面的に捉えると、正確な判断を見失うという好例だと思われます。
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